目次
1.製品紹介
2.試験機コラム
3.書籍紹介 
4.ブレイクタイム
5.青ちゃんの言いたい放題
6.マーケティングコラム
7.やまのひとりごと









1.製品紹介
自動運転の開発が花盛り、その基本となるのがステアリングとブレーキ関連。
本装置はブレーキ関連部品(ペダルリンク・マスターシリンダ・キャリパ等)
ブレーキ系HILS(ECU)開発をアシストするツールです。
テストドライバーに代わり、実車やベンチで安定したブレーキ操作を実現します。
 
※その他特注仕様にも対応いたします。お気軽にお問合せください。




2.試験機コラム
[開発試験機の未来像]
   自動車開発の世界でも、21世紀になった頃からモデルベース開発MBD全盛となってきました。実際に試作品を作る回数を減らし、開発の初期段階ではもっぱらコンピュータ内でのシミュレーションモデル検証を回していく手法です。開発期間の短縮や試作開発・実験費用の削減に効果があり、特にガソリンエンジンからEVへとパワーソースが移行しつつある状況、自動走行が主流となる世界では、ECU開発などに大きな労力を割かれるため、コンピュータ解析との相性が非常に良いようにも見受けられます。

 100年に一度の自動車産業変革期、MBD導入をはじめとした開発環境の激変で、我々開発試験機業界にも大きな変革のうねりが押し寄せています。いままで新規開発案件に呼応するように導入されていた新スペックの開発試験機も既存設備の改造で乗り切る動きが多くなり、新規製作する場合でも将来の拡張性を考慮して、高スペック・多用途向けと技術要求がどんどん上がっていきます。

 ただ、そのような傾向の中でもまだまだ実機試験に頼る領域も存在しています。①トライボロジー領域(シミュレーションの確度がまだまだ?)、➁耐久試験領域(やはり最終段階では実機確認が必須?)、③官能試験領域(人の感覚の定量評価?)等でしょうか?
 これらの領域では、今後も実機運転による確認評価が続けられると予想しています。ただ試験機としての構成・性能では、従来とは異なる部分も数多く盛り込まれるのではないかと思います。個別の試験機ごとに重点注力個所は当然ことなりますが、一言でまとめると、より電脳化が進むということでしょうか。

 多点高速でデータ計測を行い、AIも含め様々な統計的手法を駆使しビッグデータを解析して、直接的には捉えにくい事象を誰の目にも明らかな形で提示できる試験機。技術的素養のあまりない人にでも、開発の良し悪しが明確となる試験機。そんなモノが求められてくるのでしょう。そして、その実現のためには装置ハードを構成するに必要な機械工学的知識にプラスして、高度な情報処理技術も要求されます。開発試験機エンジニアも自動車開発エンジニア同様、常に時代の進化に敏感で、自己啓発し続けなければいけません。




3. 書籍紹介
『日本の航空産業 国産ジェット機開発の意味と進化するエアライン・空港・管制』  
中公新書  渋武 容著  2020年4月発行
 輸送機器関連に携わっておられる読者の皆様は、おそらく航空機への関心も強いかと思います。航空機発達の歴史や構造にまつわる解説書は数多く出版されていますが、本書は航空産業全般にフォーカスしているところがユニーク。

 話題の三菱スペースジェットやホンダジェットについてはもちろんのこと、航空発展の歴史から航空機全般は当然ですが、エアラインや空港・航空管制などビジネス運営の観点からもその全体を俯瞰しています。さまざまな裏話を織り交ぜながらやさしく解説しているので、気軽に楽しくページを繰ることができます。

 日頃、出張・観光・里帰りなどで空を利用される方も多いかと思います。このような知識が入っていると、空港や飛行機内での出来事がいっそう興味深く新鮮に感じられることと思います。




4.ブレイクタイム
【うなぎ】
 養殖技術の進歩により一年中美味しく食べられるウナギですが、天然のニホンウナギの旬は10月~12月。冬を越すために脂肪をたくわえているため身が柔らかく美味しいそうです。そしてその優れた栄養価は言うまでもなく、期待される効果は疲労回復・生活習慣病予防など、皆さんご存知のとおりです。
 そのニホンウナギがこの度大活躍です。九州大学大学院などの研究グループが、ニホンウナギが高さ46mの滝の岩肌をよじ登っている可能性があることを突きとめました。滝を越えた上流で若いニホンウナギを発見したことからそう結論付けられました。その滝の壁面(岩肌)の凹凸がよじ登りやすいらしく、凸凹をせきやダムの整備に応用すれば、絶滅の危機が迫っているニホンウナギの生息域拡大に役立つのでは…とのこと。(参照:2020年8月27日中日新聞)

もっと知りたくなり調べてみたところ、ニホンウナギは登っては落ち登っては落ちを何度も繰り返し遡上を成功させるのだとか。しかし上流までたどり着くものは少数とのこと。難しいとされる大きな障害も果敢に挑戦し乗り越えようとする姿を想像し感嘆しました。
46mもの滝の岩肌を越え、絶滅の危機を救うような重要情報を提供してくれた上流のニホンウナギ…ニホンウナギ界の救世主かも知れませんね。上流の住み心地はいかがでしょうか。私のように、コロナ禍で体重記録更新…なんて会話はしてないでしょう。
                                                            



5. -コラム-
「コロナ後の世界
                                             /青木邦章
  この夏(本来ならば楽しい行楽シーズン)、コロナ禍ゆえ、何をするでもなくいたずらに時を過ごしてしまった方も多いかと思います。しかし、感染状況は高止まりではあるものの峠を越えた感もあり、いよいよ経済回復へと期待が高まります。

 この半年の弊社の景況を振返ってみると、新規引合案件が足踏み停滞(発注取止め・先延ばし・稟議の遅延など)。一方で、メンテ・点検校正・整備修理依頼は急激に増加。「新規投資は躊躇するものの、日々の仕事は粛々とこなさなければいけない」そんなお客様の苦悩が見えてきます。

 そういった訳でエンジニアの面々は東奔西走、席を温める暇もないのに、一方で営業中心の青ちゃんは社内にいることがめっきり多くなりました。営業訪問しようと思っても強い自粛要請があり、もっぱら見積関連書類作成とWeb会議対応の毎日。お付き合いのある商社の方々にうかがってもほぼ同様。「これから先、営業スタイルはどう変化していくのだろうか?」と話題に上ることもしばしばです。
 どこの商社も花形営業マンは「IT化・リモート化が進むと言っても、営業は面着が一番。コロナが収束すれば、また元通りに足で稼ぐ日々になる。」との見立て。冬ごもりから飛び出そうとしている春先の虫のようです。

 しかし、技術畑が中心の弊社お客様の反応はちょっと異なるようにも見受けられます。“デジタル書類”+“Web会議”の方が論点も明確になり、時間効率も良く、タイムリーに開催できるので、これを機にそちらに移行すべきといった方も多くいらっしゃいます。さすがIT環境で育ったデジタル世代。還暦を過ぎた青ちゃんは、ついていくだけで精一杯です。

 さて、“浪花節営業”vs“スマート営業”、どちらが大勢を占めるのか?興味津々。Web環境が普及しはじめて早30年。老若男女問わず、誰もがNetに簡単につながる現代。まだまだ浪花節が通用するモノづくり産業の営業の現場にも、急激な変化が訪れているのかも知れません。



6.マーケティングコラム
[Airbnb上場に見る希望]
 コロナ感染者数が落ち着きをみせ、10月からはGoToトラベル事業に東京も含まれるなどポストコロナ・ウィズコロナの時代に入っているように思われます。とはいえ、製造業やサービス業の需要は回復の兆しが見えず、依然として厳しい環境におかれている企業が多いのではないでしょうか。先の見通しがたたず、不安な日々を送られている皆様に、一見すると逆境に立たされているにもかかわらず、明るい見通しを示したAirbnbの事例をご紹介させていただければと思います。

 Airbnb(エアビー・アンド・ビー)は、宿泊施設の提供者と、宿泊希望者を結びつける民泊仲介サービスを生業とする、米国でも有数のスタートアップ企業です。Airbnbは、旅行を前提としたビジネスであることから、コロナ流行によって大打撃を受けました。コロナによるサービス利用者減少の結果、増資と借り入れによる運転資金の確保、全社員の約25%に当たる1900人の削減を余儀なくされました。ところが、これらの構造転換が株式市場や投資家から評価され、結果として2020年中にIPOすることにつながったのです。

 経営学には残存者利益という言葉があります。厳しい競争によって市場から企業が複数退出したとき、最終的に残った企業が獲得できる利益のことです。コロナによって市場から退出を余儀なくされる企業が増える現在、構造転換によってなんとか市場にとどまることができれば、最終的にはコロナ禍以前よりも高収益をあげる企業体制を構築することができるかもしれません。特にB2B企業の場合、危機に強い企業構造を確立することで取引相手や、銀行をはじめとする資本から高く評価される可能性が高いでしょう。

 こうした評価は、日々のビジネスを有利にすすめることにも繋がります。危機的状況であるからこそ、平時には困難な構造転換に取り組むチャンスなのかもしれません。




7.やまのひとりごと
 コンビニエンスストアにサツマイモ味や栗味のお菓子が並ぶようになりましたね。
風景や気温の変化よりも、身近な秋の訪れを感じます。もしできれば、紅葉を見に行きたいな。もしできれば、美味しいものを食べるためにちょっと遠くへお出かけしたいな。小さな野望をいくつも持っているやまなのでした。